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ハラビロカマキリとハリガネムシ


ハラビロカマキリ(Hierodula patellifera)はカマキリ目 Mantodea カマキリ科 Mantidae に属する昆虫です。若虫は腹の背面を反り返らせた姿勢をとることでも知られています。 このハラビロカマキリにはハリガネムシがよく寄生します。以前よりハリガネムシの寄生でハラビロカマキリの行動が変わることが報告されていますが、その仕組みが最近明らかにされました。 大林ら(2021)の研究によると、ハリガネムシが寄生することでハラビロカマキリが水平偏光に引き寄せられ、ひいては水平偏光を強く反射する川や池へ飛び込むということです。
水の中へ飛び込んだハラビロカマキリのお腹から、ハリガネムシは水中へと移動します。そして水中生活においてメスは産卵し、卵から付加した幼生は水生昆虫に捕食され、その水生昆虫がハラビロカマキリに捕食され、再びハリガネムシはハラビロカマキリに寄生するのです。 ハリガネムシはカマドウマのような他の昆虫にも寄生しており、その寄生関係は森と川の生態系にも影響することも示されています(佐藤ら 2011)。

参考文献
  1. Nasono Obayashi, Yasushi Iwatani, Midori Sakura, Satoshi Tamotsu, Ming-Chung Chiu, Takuya Sato (2021) Enhanced polarotaxis can explain water-entry behaviour of mantids infected with nematomorph parasites. Current Biology, 31:R777-R778.
    doi: 10.1016/j.cub.2021.05.001
  2. Takuya Sato,Katsutoshi Watanabe,Minoru Kanaiwa,Yasuaki Niizuma,Yasushi Harada,Kevin D. Lafferty (2011) Nematomorph parasites drive energy flow through a riparian ecosystem. Ecology 92:201-7.
    doi: 10.1890/09-1565.1
© 2022 Research Center for Integrative Evolutionary Science, SOKENDAI