大槻 久 准教授
数理生物学・進化ゲーム理論
大槻 久
准教授
研究分野 | 数理生物学・進化ゲーム理論 |
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飢餓状態に陥ったキイロタマホコリカビでは,一部の個体が自己犠牲的に長い柄となり仲間の分散を助けます。アリやハチなどの社会性昆虫の多くでは,女王が繁殖を担当しワーカーは労働に徹します。ヒトでは互恵性が社会の基盤を成しています。このように協力は生物界で普遍的に見られますが,自らはコストを支払わずに協力の恩恵のみを享受する「裏切り者」の存在のため,協力の進化的起源は自明ではありません。数理モデルを用いてこの起源を理論的に明らかにしています。具体的には細菌の血縁認識,アリコロニーの動的最適化,包括適応度理論の一般化,集団構造と進化動態,ヒトの間接互恵性,罰や報酬の進化,霊長類の資源分配と提携形成,順位制の進化などのテーマを扱います。その他,動物行動,生態系,社会ネットワーク,化学進化,発がんプロセスのモデリングにも取り組んでいます。進化ゲーム理論自体の基礎研究も行っています。手計算やコンピュータシミュレーションの手法をしっかり身につけた人材の育成を目指しますので,予備知識よりもむしろ,新しい事に努力を厭わず積極的に取り組める学生を歓迎します。
代表的な論文、著書等
- 1.Ohtsuki, H., Iwasa, Y. & Nowak, M. A. "Reputation effects in public and private interactions." PLOS Computational Biology (2015) 11(11), e1004527.
- 2.Kobayashi, Y., Wakano, J. Y. & Ohtsuki, H. "A paradox of cumulative culture." Journal of Theoretical Biology (2015) 379, 79-88.
- 3.大槻 久 岩波科学ライブラリー226『協力と罰の生物学』 岩波書店 (2014)
- 4.Úbeda, F. Ohtsuki, H. & Gardner, A. "Ecology drives intragenomic conflict over menopause." Ecology Letters (2014) 17(2), 165-174.
- 5.Rand, D. G., Tarnita, C. E., Ohtsuki, H. & Nowak, M. A. "Evolution of fairness in the one-shot anonymous Ultimatum Game." Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (2013) 110(7), 2581-2586.
- 6.Ohtsuki, H. "Evolutionary games in Wright's island model: kin selection meets evolutionary game theory." Evolution (2010) 64(12), 3344-3353.